法人とは
人間以外が法律上に権利や義務の主体とされるもので一定の目的を持つ個人の集団(社団)や一定の目的のために拠出された財産(財団)の事です。
企業としては主に公企業(第一セクター)と私企業(第二セクター)と公私合同企業(第三セクター)にわけられます。
公企業
国と地方それぞれ運営している企業があり、国が運営している企業は国営企業、特殊法人、独立行政法人等があります。
地方が運営している企業は地方公営企業と呼ばれ交通、水道、ガス、市営等があり、中には民間の資金やノウハウを生かした公企業のPFIも存在します。
国営企業
旧四現業であり国有林野、造幣、印刷(切手、印紙、はがき等)、郵便がありましたが現在は独立行政法人に移管されたり民営化され国の現業は廃止となりました。
特殊法人
営利目的での実施は不可能に近い事業を目的とされ設置される法人で公庫、公団、公社、事業団等の名称が多い傾向にあります。
法人税や固定資産税は免除され、資金も国から流入し特殊法人は性質上官僚の天下り先として批判も多く、かつては100以上存在しましたが現在は30程度まで減少しています。主な特殊法人はNHK、JRA、日本年金機構等です。
独立行政法人
国から独立し行政上の仕事を行う法人で、法人税や固定資産税は原則必要で資金も自ら調達しますが、国からの運営交付金もあります。
公的な要素と民間が混在しており、職員が公務員の特定独立行政法人や職員が非公務員の独立行政法人が存在します。こちらも各省庁の請負事業や天下りが横行しているため現在90程度から65に統廃合を目指しています。
地方独立行政法人
市が出資して設立する市から独立した法人で地域において必要ですが民間では実施されない可能性のある事業について行うことを目的とした法人です。
職員が公務員の特定地方独立行政法人と職員が公務員でない一般地方独立行政法人にわかれます。
私企業について
私企業とは資本主義経済の中核をになう法人で、私企業は営利法人、公益法人、中間法人にわけられます。
営利法人
株式会社
株式を発行し資金を集め作る企業 出資金の返済は不要で自己資本となります。
資本の所有者の株主と経営を行う経営者は分離しており、経営者の選出は最高決定機関の株主総会で選出されます。倒産した場合は債権者に対し出資額を上限とし有限の責任を負います。
2006年の会社法改正前は資本金は1,000万円、取締役は3名以上必要でしたが現在は1円から作ることができ取締役は1名となりました。
有限会社
2006年の会社法改正前まで設立可能でしたが会社で現在は存続のみ可能です。資本金300万円、取締役は1名以上が必要でした。
出資者=社員=経営者です。
持分会社
合同会社、合名会社、合資会社があり、出資者=社員=経営者であり全社員の総意で運営する会社で大きくわけて以下の3種類があります。合資会社や合名会社は近年でほとんど見かけませんが、昭和以前から続く老舗の作り酒屋が多い傾向にあります。
合同会社は有限責任社員のみで構成されます。
合資会社は有限責任社員と無限責任社員で構成されます。
合名会社は無限責任社員のみで構成されます。
ホールディングス
傘下の会社の株を保有し管理する持株会社の事で純粋持株会社と事業持株会社があります。
M&A等が行いやすく意思決定を迅速に行いやすくリスクを分散させやすい反面間接部門のコストがかかりやすく、子会社同士の連携はとりにくい傾向にあります。
戦後独占禁止法により持株会社制は禁止されていましたが、1997年持株会社が解禁され、グローバル化が進む中、近年は持株会社が増加しています。
ⅰ純粋持株会社
事業を持たず子会社の統治のみの会社で株配当が主な収益となります。
ⅱ事業持株会社
子会社の統治を行いながら自社内での生産活動も行います。
公益法人
公益を目的とし営利を目的としない法人です。
事業経営の資金確保の目的のため収益事業を営んでも本質には反しません。
公益法人には社団法人、財団法人の2つの形態があり、学校法人、医療法人、社会福祉法人、宗教法人、NPO法人等は特別法がある。
学校法人
財団法人として規定され設立には一定額以上の寄付が必要となります。
一般的な社団法人と異なる点については5人以上の理事長や2人以上の監事を置で、理事の2倍以上の数の評議員で組織する評議員会が必須機関です。
私立の幼稚園は学校法人によって規定されず個人や宗教法人等でも設立は可能です。
医療法人
病院、診療所、介護老人保健施設を開設する法人です。
医療関係者の養育、研究所の設置,保健衛生に関する業務などを加えることが可能です。
社会福祉法人
各種福祉法人や保育園や医療機関を開設する法人です。
宗教法人
宗教の教義を広め、信者を教育する団体です。
教義上の目的に反しない限り収益事業を行うことが可能でそれ以外は免税となります。
NPO法人
特定非営利活動促進法に定めるところの20種類の分野の活動のため設立された法人です。
民間組織で公益にサービスを提供する非営利団体で、目的に賛同すれば入会は可能で入会拒否はほぼ不可能であり、入会した社員は出資額に関係なく議決権があります。
中間法人
営利も公益も目的とせず、同業者間の利益増進や会員相互の親睦を図ることを目的とする団体です。同好会や同窓会等は法人となることはできず権利能力なき社団となります。
主な中間法人に相互会社、農業協同組合、生活協同組合等があります。
相互会社
保険業法で保険会社のみ設立が認められた非営利法人です。
現在は5社の生命保険会社のみで、株主が存在せず契約者が会社の構成員となります。
資本金については基金となり一定期間内に拠出者に返済義務があり、損益計算書については独自の資本項目となります。
株式総会にあたる総代会があるが経営陣本位の意図を反映させる人が総代になると保険金不払い等の多くの不祥事の遠因となってしまいます。
相互会社は配当が高くなる傾向にありますが、配当を出さない代わりに保険料を安くする無配当保険の販売は法律で制限がされており、制限がない株式会社からより安い保険料の無配当保険の販売がされやすい傾向にあります。
公私合同企業
政府、地方公共団体の資金+民間資金で設立し株式会社の形態をとります。
地方公共団体の出資が25%以上の法人を第三セクターと呼び、特殊会社や認可法人も公私合同企業となります。
特殊会社
公共性の高い事業でありながら行政よりも会社として運営することが適切であると判断された会社で株式会社の形態をとります。
主な特殊会社はNTT、JT、日本郵政、NEXCO、JR等があります。
認可法人
特殊法人と異なり民間の発意により設立される法人です。
特別な法律に基づき、設立には主務大臣の認可が必要です。
主な認可法人は日本銀行、日本赤十字社、商工会等があります。
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